連邦議会と国会 2013 11 23

 中央集権国家である日本においては、
「地元の利益を考えるのは、県会議員まで。
国会議員は、国益を考えるべきだ」と言われますが、
アメリカは、違うと思います。
 上院議員も、下院議員も、
基本的に地元の利益を代表していると言えるでしょう。
 それは、アメリカが連邦制の国家であるからです。
州があってこそ、国家があるのです。
 だからこそ、連邦議会の議員は、
地元の利益を代表しているという意識が強いでしょう。
 こうした点については、
アメリカのハドソン研究所の日高義樹氏も指摘しています。
 そういうわけで、大統領が、
シリア軍事介入で議会の事前承認を求める方針を決めたのは、
誤りと言えるでしょう。
 以下の「イヤマーク(耳標)」を読んでいただけると、
参考になるかと思います。
 かつて、オバマ氏は、「中央政界において、経験不足である」と、
何度も何度も、指摘されていました。

耳標 ear mark earmarks 2009 4 26
 アメリカの金権政治を知る上で、
「イヤマーク」は重要なキーワードになりますが、
それに該当する日本語がありません。
直訳すれば、「耳標」となります。
 強いて日本語に当てはめれば、
「利益誘導」、「バラマキ」、「つかみ金」という言葉を
合成したような意味になるでしょう。
 日本の場合は、議員が選挙区に利益誘導を考えても、
官僚機構が強力なので、そう簡単に議員の思い通りになりません。
 しかし、アメリカの場合は、官僚機構が弱いので、
利益誘導天国になります。
つまり、やり放題です。
 そういうわけで、「利益誘導」で「バラマキ」で、
かつ「つかみ金」が、イヤマークです。
 アメリカは超大国ですので、何事もスケールが大きく、
「利益誘導」のスケールも日本の比ではありません。
 よく日本のメディアは、日本の政治を金権政治と批判しますが、
アメリカの金権政治に比べたら、かわいいものです。
日本の政治家は、こそこそと、ちまちまと金権政治をやっているだけです。
(もちろん、こんなことは自慢にはなりません)
 軽部謙介氏は、著書の中で、こう書いています。
「オバマでも変えがたいもの。
それは、アメリカ政界に、はびこる金権体質だ。
カネの亡者と化したロビイスト。
資金集めに血眼の政治家。
利益追求が第一の献金者。
ワシントンでは、カネこそが、ものを言う」
 こうした現状に対して、
アメリカの有識者は、「お金で買えるアメリカの民主主義」と嘆いています。
「我々の民主主義は、お金で買うことができる」と。
 書名 アメリカの金権政治
 著者 軽部 謙介  岩波新書
(注1)
 もちろん、私は、イヤマークが全面的に悪いとは考えていません。
要するに、極論すれば、
予算(税金)の配分を誰がやるかということに行き着くと思います。
それを官僚がやるのか、あるいは議員がやるのか。
官僚がやれば硬直的なものとなり、議員がやれば利益誘導となります。
(注2)
こうしたイヤマークは、連邦議会だけでなく、地方議会にもあります。
(注3)
 日本の政治家は、真似しないでください。
日本人は、何でもアメリカの制度を真似しようとしますが、
何も悪いことまで真似をする必要はありません。









































































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